問題は今日の雨、傘がない

「テレビでは我が国の将来の問題を

誰かが深刻な顔をしてしゃべってる

だけども問題は今日の雨 傘がない

 

行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ

君の家に行かなくちゃ 雨にぬれ」

 

 今朝、傘がありませんでした。昨日どこかに置いてきてしまったのだと思います。井上陽水の曲『傘がない』を思い出しました。参議院議員選挙の投開票が終わったばかりで、テレビでは改憲の可否を報じていました。誰かが深刻な顔をして。

 

 学生の頃に「『戦争』について自由に書く」という課題を提出すると、教授から「『傘がない』的な文章だ」と講評されました。社会で起こっている事がらに一定の距離を取って、自分の目の前の問題を事細かに書いているということでした。

 

 映画『君の名は』が大ヒットし、現在『天気の子』も公開中の新海誠監督の作品は、「セカイ系」と言われます。セカイ系とは、世界がどんなに大変なことになっていても、僕と君とその周辺のみで展開する物語のこと(諸説あり)。『新世紀エヴァンゲリオン』などもそうで、バブル崩壊後に多くのセカイ系アニメがヒットしてきました。人のことなんてどうでもいい、自分のことだけを考えるといった平成の時代の人々の特徴が反映されていると言われています。

 

 だから、たぶん私だけじゃないんです。今朝、『傘がない』を口ずさんで外に出て、会社に行き、先週までの仕事の続きを始めた人がたくさんいるでしょう。選挙がどうなったとしてもどうせ今までどおりの明日が来る。分かります。でも、気づいた頃には傘の値段も上がっているでしょう。それが政治なんですよね。問題は今日の雨、傘がない、傘が高い。傘がないだけで済まなくなる前に、昨日投票に行きました。