「最近流行ってますよね、LGBTとか」

映画『ミッドナイトスワン』を観ました。草彅剛さんが新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダーの凪沙を演じています。 原作・脚本も手掛けた内田英治監督はかなり多くの取材を経て制作したそうですが、中でも私が特にリアリティーを感じたの…

常識が信仰であるとしたら

村田沙耶香さんという小説家が好きで、よく読んでいます。芥川賞を受賞した『コンビニ人間』が代表作と言われますが、恋愛や結婚、出産をテーマにした著作の方が面白いと思います。とはいってもキラキラした恋愛小説の類ではなく、私たちの常識を根本から問…

「私たちが何のために生きているか、誰にわかるっていうの?」

新型コロナウイルス感染症の影響で、多くのイベントが自粛されています。私も趣味の演劇が公演中止になり、仕方ないとはいえ、残念でした。 今月初めには劇作家・演出家の野田秀樹さんが「公演中止で本当に良いのか」という意見書を出しました。「感染症の専…

色んな大人がいてもいい

たまに、近所の子ども向けの造形教室の手伝いをしています。スタッフは、みんな心優しく、仲良しです。ただ、気が利くとか、テキパキしているかとか、そのあたりはもちろん、人によって違います。そんな中で、先日、印象的な会話がありました。 たしか、何度…

哲学は非実用的か

お正月休みは『子どものための哲学対話』(永井均著・講談社文庫)を読んでいました。「人間は何のために生きているのか?」「友だちは必要か?」といった疑問について中学二年生の少年と猫が対話する本で、文庫版は2009年発売ながらAmazon「哲学」カテ…

問題は今日の雨、傘がない

「テレビでは我が国の将来の問題を 誰かが深刻な顔をしてしゃべってる だけども問題は今日の雨 傘がない 行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ 君の家に行かなくちゃ 雨にぬれ」 今朝、傘がありませんでした。昨日どこかに置いてきてしまったのだと思います…

私の結婚、あなたの結婚

20代も終わりに向かうなか、同世代の友人の結婚式に招待してもらうことが増えてきました。特に5月、6月は結婚式シーズン。私も3年前の5月に結婚しました。この文章を書いている今日は結婚記念日です。 結婚はめでたい。 私もたくさんの人に祝ってもらい…

〇〇世代という思考停止

団塊の世代、しらけ世代、バブル世代、氷河期世代、プレッシャー世代、ゆとり世代、さとり世代…。 「〇〇世代なんですね」と言ったり言われたりすることはありますが、それで良い気持ちになる人は少ない微妙な言葉です。 私はゆとり世代ど真ん中の年齢です。…

寂しさより語るべきことはないか

セクハラ、パワハラ、モラハラ、マタハラ…。 ハラスメントという概念は他の様々な言葉と合体して広まり、今や誰の口からも語られるようになりました。 セクハラ被害を告発する「#Me too」運動の広がりにより、ハラスメントは当事者間や組織内だけでなく世界…

人生の選択にできるだけ寄り添うということ

「女子は大学卒業後、結婚や出産で医師をやめるケースが多い」として女子を不利にする得点操作が発覚した東京医科大学の入学試験。言うまでもなく多くの企業で同様の理由により女性の採用が控えられていますが、大学受験においても適用されていたことが明ら…

生活うばう美談の影

天の神様は、毎日化粧もせず機織りに励む娘を不憫に思い、勤勉な牛飼いの青年と結婚させました。しかし、二人は結婚すると、仲が良すぎるあまり働かなくなってしまいます。これに怒った神様は二人を引き離しますが、娘は悲しみに暮れるばかりで働かない。そ…

なぜ飲み会に行きたくないのか

春は歓送迎会の季節。「飲み会は強制ですか?残業代つきますか?」若手社員からこんな質問をされて「今時の若者は…」とあきれる方も多いかもしれません。「俺が若い頃は上司に毎日付き合って仕事の話をして、翌朝そのまま仕事に行っていた」と。(ここで「え…

過重労働は感情をうばう

働き方改革関連法案の議論が進む中、裁量労働制の拡大が問題となりました。 国会では、政府が議論の根拠としてきた調査データに誤りが発覚。けっきょく裁量労働制の拡大は法案から全面削除されました。 自由な裁量が保障された裁量労働制に合理性はあります…