なぜ飲み会に行きたくないのか

 春は歓送迎会の季節。「飲み会は強制ですか?残業代つきますか?」若手社員からこんな質問をされて「今時の若者は…」とあきれる方も多いかもしれません。「俺が若い頃は上司に毎日付き合って仕事の話をして、翌朝そのまま仕事に行っていた」と。(ここで「えー!すごいですね」と合いの手。)定番の流れですね。

 

 この30年間で世の中は変わりました。

 

 まず、会社の飲み会の利点として君臨していた「有用な話が聞ける」「出世につながる可能性」が現代では瀕死状態にあります。激動社会において30年前の武勇伝を再三語る上司は歴史の語り部。それも貴重な文化財ですが、知りたいことはインターネット検索が主流です。上司に気に入られ出世につながる可能性は確かにありますが、大企業でも将来安泰とは言えない現代において、その役立ち度は下落しています。

 

 次に、価値観や娯楽の多様化です。新卒入社、結婚、子ども、マイホーム。このような人生が当然だった頃、確かに会社に尽くして飲み会に出て出世する必要があったのでしょう。しかし今では、それより家でユーチューブが見たい人、転職や起業をする人、結婚や出産をしない人も当たり前にいます。

 

 他にも、共働きで家事育児分担のために急な飲み会に対応できない人が増えたこと、バブル時代は奢りや経費だった居酒屋代が自腹となったことなど、若者が会社の飲み会に消極的になった理由は枚挙に暇がありません。

 

 そんな中で飲み会の近代化はあまりにも牛歩ではないでしょうか。お酌、長い説教、セクハラ。若手の頃辛くても我慢したことを新人に継承する伝統芸能の場のようです。本当は、上司の皆さんも無理に誘ったり歴史を語ったりお酒を注がれるまで待ったりしなくていいのです。自由に誘い、飲み、帰り、断れる。何も強制し合わない。そんな飲み会に私は行きたいです。